超音波バリ取り洗浄の特徴
バリ取りで お困りのお客様。 超音波バリ取りは、従来方法と異なる たくさんの特徴があります。超音波バリ取りは全く新しい新技術で今までのバリ取りにない特徴を持っている。他のバリ取り手段と比較しながら考える。なお従来のバリ取り手段と併用して使う事も多い。それでは、どのくらいの大きさ、厚さのバリ取りが、可能なのか?少し乱暴な言い方ですが、通常の楊枝で、垂直に 楊枝が折れるか、先が潰れるまで、つついて、取れるバリは、その大部分が取れると 言っても良いと考えます。検討に際の。参考にして下さい。実際は、それ以上です。 ショットブラストとの比較ショットブラストは胡桃の粉からガラスビーズ、鉄球まで様々な固体を(一部、氷の微粉や、炭酸ガス、またSHIBANOの開発した常温融点溶剤まで含む)対象物に衝突させてバリを取ったり、表面改質を行う技術をであり、これからも、なくてはならない、重要なバリ取り、表面改質技術である。しかし、その性格上、逆に表面にダメージを残し易く、複雑な形状や、複合部品には 適していない。また有機物のショットは、引火爆発の危険もあり、注意を要する。さらに一部を除いて 産業廃棄物としてブラスト剤が問題になる。またその多くの手段が、後工程として洗浄工程が必要になる。小さなものを連続で大量に処理するのには適していない。 対して超音波バリ取りは複雑な形状 複合部品などを一度に大量に処理し、通常水でいいので危険性もなく廃棄物もバリ取り工程からは生じない。もちろん後工程に洗浄は必要ない。ただし、肉厚なバリなどはショットが優れている。精密微小バリ取りは超音波。肉厚、表面改質(超音波でも可能と言う方もいるが)は、ショットという区分が考えられる。 |
球状星雲型キャビティー 超音波バリ取り事例一部 |
バレル研磨との比較バレル研磨は表面の改質、研磨、バリ取りに有用な広く使われている方法である。しかし金属、プラスチックの複合部品や電子回路部品、表面の改質研磨を望まない部品には不適当である。何より非常に研磨粉、バレルコンパウンド等に 汚染されることを覚悟しなければならない。エッジコウナーはRに加工される。微細な止まり穴、交差穴、奥のコウナーなど最近の精密加工技術の結果としての、精密加工バリ取りには適さない。さらにほとんど、長時間のバッチ処理になり、ライン化には困難である。廃水処理、そして一般には強力な超音波洗浄を仕上げに必要とする。 |
バリ取り映像の1例 |
なお、この改良型として磁気バレルがある。汚染度は少なく、排水処理までは考えなくて良い。しかし、バレル研磨の基本的特徴はそのまま持っている。基本的に対象ワークの内面までは 困難である。もちろん磁気を問題にするものは適さない。
超音波バリ取りはエッジコウナーをRにすることは出来ない。特殊な例として、超音波と砥粒を併用する方法も、いくつか実用化され、実績をあげているがバレルのようなエッジコントロールは出来ない。しかし、汚染されず、大量にライン化処理でき、条件にもよるが 微細な止まり穴、交差穴(簡単ではないが)細いM2くらいのネジ穴のバリなどは 得意と要っていい。0.125mmΦの光ファイバーコネクターのいり口のマイクロバリなどは、他のほうほうでは困難である。超音波バリ取りは、バレルで困難な、複雑精密部品の微小バリ取りに最適であるがバレルでよい結果が出ている場合は、仕上げ洗浄と仕上げバリ取りとして考えたらどうだろうか。
高圧スプレーとの比較
50㎫以上の高圧スプレーは、その固定が難しく対象物の破壊をも伴う。従って、15㎫~50㎫が市販されている一般的な、バリ取り高圧スプレーの圧力である。なお高圧スプレーのなかに直進ノズルを使用せず面積を確保するため、扇形または充円錐形のノズルが見られるが、これはバリ取りとは言えず、高圧?スプレー洗浄である。
超音波で発生するキャビティの正と負の1秒間に20000回以上の衝撃波を一方向のみのスプレーと比較するのは困難であるが、バリ取りのチェック用に使用されている、塗料の剥離試験では25㎫の高圧スプレー(5mmΦで50mmの距離から垂直に噴射)よりは強力で、50㎫とは同等という結果が得られている。キャビティ一個一個のそれぞれの正負の衝撃波ははるかに大きいのは認めるけれども、マクロ的な平均値では、このぐらいの値だろうか。
高圧スプレーはパワーが大きく洗い流す力が 大きい。キャビティは高速の正負の繰り返しであるから、微小な汚れは拡散するがスプレーのような洗い流す力は 小さい。しかし、高圧スプレーのバリ取り時の照射面積は一ノズル5mmΦと小さいのに対し、超音波の照射面積は、1200wの最も小さいものでも、300mm✕200mmの面積をカバーする。また高圧スプレーはバレル、ショットブラストと同じく一方向の力のためにバリを 折り曲げ へばりつかせて一見取れたかの用に見えてしまい、より取れにくい状態にしてしまう傾向にある。小さな止まり穴の奥のバリは取るというより押し固めである。超音波の非常に大きな特徴は負の衝撃波のほうが大きいこと、つまり、倒れているものは起こし、つぶれているバリは引き剥がし、除去するということにある。
もちろん高圧と異なりワークの固定に労力を取られず、小さい精密部品もまとめて処理することが出来る。今日では高圧でしか無理かと思われていた、または高圧でも無理かと思われていた、自動車のバルブボディ、トランスミッションのギヤー類、油圧機器のローター、などにも利用されつつある。どんどん改良されており、50㎫を 越して 安定して来ているように考える。電子部品 コンピューター部品等の 微小バリから機械加工部品のバリ取りへ広がりつつある。
何よりの違いは、メンテナンスが 容易なこと、特殊なポンプを使わず、場所をとらず、電気量が 格段に少なくて 済むことである。
[もちろん、この超音波バリ取り技術は、当社独自のものであって、SHIBANO理論によるものである。超音波一般に通用するものではない。念のため。]
サーマルデバリングとの比較
密閉した圧力容器の中で、火薬またはガスを 爆発させて、その圧力と高熱でバリを取る。大胆な発想として、印象に残る。主にエンジンブロック、油圧機器などの、バリを取る。バリを力で取ると言うよりは、高熱で溶かして 融着して取る形である。問題は、高熱で表面が焼け、商品とするには 酸洗浄が必要で、その後アルカリ中和、リンス洗浄が必要。また対象も限られる。電子部品、複合部品、ゴム、プラスチックはできない。最大の難点は、火薬、または、ガスの管理が必要で、容易に導入できない。価格は、極めて高い。
超音波バリ取りは、後処理は不要で、危険性もなく、誰でも容易に扱える。衝撃力もサーマル・デバーリングを 越しつつある。一部を除き、超音波バリ取りに変わるとかんがえる。
冷間バレルとの比較
バレル研磨の発展系であるがゴムのバリ取りにショットとの組み合わせで 使用される。マイナス80度以下で使用される。ゴム等のバリ取りには、他にない特徴を発揮する。もちろん、れ寛ばれる後に超音波洗浄は必要。ショットも使うので、狭い隙間や、止まり穴に入り込んだショット材の除去も必要になる。超音波冷間バリ取りは、開発中。
ブラシ、竹べら等との比較
現在もっとも多く使用されている 方法の一つ。主に人手による。品質にムラがあり2次バリといわれるより微小なバリの発生源になる。その多くが超音波バリ取りに代替できる。必要だった洗浄もなくなる。
電解バリ取りとの比較
濃い塩水中で バリと電極の間に 放電させ、電流の熱で溶かして バリを取る。この方法は、ステンレスだと、六価クロムが発生、塩水の処理、重金属の処理、電極な管理、何より、塩で 装置の寿命が短く、設備機会は、どんどん減少している。大部分超音波バリ取りに、代替できる。
超音波バリ取りの特徴のまとめ
超音波バリ取りは他にない多くの特徴を持っている。
- 材質を選ばない。
金属・プラスチック・ゴム・セラミックス・ガラスまたそれらの複合剤。難易度はあるものの基本的にほとんどの材質に対応できる。 - 形状にとらわれない、バリの発生場所が多方向で、内面の公差穴なども対象になる。
- 数を制限されない。一から数万個まで、一度にまたは連続で処理できる。
- 有害物など、発生しない。危険物は使わない。水を使用する。
- 洗浄物を汚さず、洗浄しつつ、バリがとれる。精密洗浄が可能である。
- 使用するのに、特殊技術、技能が不要である。また自動化が容易で管理がし易い。
- 最大に利点は、微小バリ(ミクロンの大きさ)がより早く、確実に除去できる。これからの精密加工に唯一対応できる手段である。
- 消耗品が少ない、フィルター等。ランニングコストが小さい。
- 設備コストは、オンリーワンにつき、営業戦略上の問題であるが、いずれにしてもバリ取り後の精密超音波洗浄を必要とする、他の競合手段と比較すると、システムとしては遙かに低い。
- 乾燥もラインかできる。汚れの再付着が少なく、精密部品加工気の処理に適する。
- 上述の利点は、クリーンルームなどの環境中に設置できることを意味し、他の手段のように隔離されたバリ取り、洗浄室を必要とせず、管理コストが軽減される。