日本・超音波洗浄技術の喪失と復活 技術顧問 柴野 佳英
超音波洗浄技術を 工学のレベルに! 超音波洗浄技術の正しい理解が、次世代の超音波応用技術を創造する。 アジアと闘う日本精密製造業に 超音波精密バリ取り技術が登場!
日本の精密加工技術の発展と共に 超音波洗浄業界は、発展を続けてきた。
時計製造業、カメラレンズ製造業、半導体製造業全般、コンピューター製造業、自動車産業、液晶製造業、携帯電話などの通信機器製造業・・・。
その時代ごとに その産業を支える精密加工業に必要不可欠な洗浄機~超音波洗浄機を日本の業界は 提供してきた。
時々の業界のリーダー的企業が、洗浄技術の勉強会を開き、その論文を、当時の洗浄機メーカーの技術者は、心、踊らせて読んだはずだ。
1980年代後半になると、洗浄機業界の隆盛と対照的に、洗浄技術への関心が 低くなり、洗浄機業界は、単なる装置産業へと傾斜していく。
フロン(CFC-113)全廃を前に、新洗浄技術の開発に関心を示さない超音波工業会に 当時の通産省フロン対策規制室のS係長は、業界の[洗浄技術の革新を忘れた]単なる装置産業への転落を警鐘する。
この事態を憂慮した筆者は、超音波工業会を離脱、自ら[超音波洗浄技術研究会]を設立、会長に 東大の松永先生を迎え、フロン全廃を前に 混乱する製造業の技術者向けに 日本の洗浄技術の集約と私の超音波洗浄理論の基本[キャビテーションコントロール理論~後のshibano理論]を基本とする 超音波洗浄技術セミナーを 全国で開催して、日本の洗浄技術の喪失防止とレベルアップを はかる。
フロン(CFC-113)全廃対策の新・洗浄技術の確立と、洗浄技術全体のレベルアップの必要性を感じた筆者は、上場企業130社と洗浄装置業界各社に呼びかけ[超音波洗浄技術研究会]を発展的に解消し、[日本洗浄工学研究会~JASET]を設立、事務局の運営と 組織部長を勤める。
業界の利害調整と派閥争いを 食い止める必要があった。
ここで、私の新技術 キャビティーション強化システム(球状星雲型のキャビティーの応用技術)を発表し、国内外で、最新・最強・超音波洗浄技術セミナーを開催し、多くの国際会議で 脱フロン洗浄技術の未来をしめす。
日本洗浄工学研究会には、アメリカからは、NASA,デュポン、空軍、IBMなどが参加、中国は 中国洗浄協会(当時)韓国は化学課(当時)が参加した。
3月に一回、各大学で、新技術 発表会を開催、JASETの論文集を発行、洗浄技術のレベルアップと普及を図る。
もっとも このころ 一番、腐心していたのは、若手の洗浄研究者、洗浄技術者の理事への途用を阻む、古参への対応だったが。
日本のバブル崩壊は、全てを 崩壊させる。
日本洗浄工学研究会を構成していた 多くの技術者が、海外派遣、人員整理・・・、経費削減などで 消えていき、同業者も参加活動どころでなくなる。
私は、これ以上の 活動は 無理と判断、日本洗浄工学研究会~JASETの休眠を宣言する。
御承知のように 戦後日本を支えてきた 多くの精密加工業が 海外に移転していった。
フィリピン、シンガポール、マレーシアへ。
そして 洪水のように 中国へ 生産の基盤を移していった。
超音波洗浄機業界の育ててくれた多くの精密加工業が 日本から消えていく。
洗浄業界を支えた技術者も 早期退職を余儀なくされ、また 後継者もそだてることが出来ず、表舞台から消えていく。
こうして、日本の過去30年にわたって 培われた技術が、今 消えて行こうとしている。
中国に目を転じると EUの経済危機で 成長は 鈍化してはいるが、超音波洗浄機メーカーは、大小2000社を超え、社員1000人を超す洗浄機メーカーも珍しくはない。
しかし、日本で 過去 切磋琢磨され築き上げられた(超音波)洗浄技術は、伝える側、受ける側の関心の違いもあり、ほとんど 伝えられていない。
ここで、当社の役割、(私の役割)は、明らかである。
中国でも 今日では、正しい洗浄技術の必要性は あらゆる分野で渇望されている。
単なる低価格大量生産では、国内市場での競争も勝ち抜けない。高品質でなければ 未来は開けない。
ようやく 本当の洗浄技術・真・超音波洗浄技術が 中国でも必要とされるように なってきていることは 明らかである。
日本の過去、30年のあらゆる分野で磨かれてきた超音波洗浄技術を アジアに 広めよう。
喪失したかに見える日本の超音波洗浄技術は、幸い、過去30年の歴史と共に 当社に 存在する。
単なる過去の技術の集約としてではなく、そこに 当社の最新技術を 組み合わせ、アジアへの普及を図る。
当社は、超音波バリ取り洗浄が 主力のメーカーであるが、この状況を鑑み、超音波洗浄装置の製造販売にも力を入れていくことにした。
時計製造業、カメラレンズ製造業、半導体製造業全般、コンピューター製造業、自動車産業、液晶製造業、携帯電話などの通信機器製造業・・・。
あらゆる分野における最新の超音波洗浄技術を 日本、中国、タイなどなど アジア各国に供給していく。
どんなことでも 当社に 御質問願いたい。