新型・乾燥機付き全自動超音波バリ取り洗浄装置 2014年1月発売開始
超音波バリ取り洗浄装置の自動機は、当社のVEGAシリーズだけでした。洗浄(油、切粉落とし)、リンス、バリ取り、(防錆)、乾燥が、標準工程です。それに対して、PPSなどの精密成型品を主な対象として、カゴを前から、入れて、前で受け取る、全自動2槽式(超音波バリ取り、乾燥)の新型機を来年1月から 受注開始することに致しました。これからは、バリ取り洗浄終了後の対象物を乾燥した状態で受け取っていただくことも可能です。
出入り口コンベアーは、並んで配置され、カゴストックは 標準それぞれ5個。防錆槽つきの同型3槽式も順次、市場に投入していきます。
フィルム製造用ディスク フィルター、キャンドル(プリーツ)フィルターの精密洗浄について
液晶画面の保護などに使用されるフィルムは 製造工程で 多数のSUS製の精密フィルターを使用する。形状の多くは デスク状(DISC Filter)をしており、用途に応じて 細長いプリーツ状のキャンドル・フィルター(Candle Filter)も使用されている。フィルターの目詰まり時、あるいは 工程を 帰る場合にフィルターを取り出し、高温で焼いて、フィルム材を灰化してから 水で 超音波洗浄をする。私は、このフィルター洗浄機の特許を20年前に取得、装置を製造、お客様に供給してきた。工程は 真空前処理をして、超音波をかけながら、回転揺動、正洗、逆洗を 全て 自動で行うもので、絶対的自信を持った超音波洗浄システムの一つである。最近のディスクフィルターの微細線化に対応して で椅子区の種類により、超音波の周波数も 液深さも自動的に変えるデスクフィルター洗浄装置も 納入している。キャンドルフィルターも 5本程度 同時にチャックして、真空前処理をして、超音波をかけながら、回転揺動、正洗、逆洗を 全て 自動で行う。特許は 17年で切れたが、超音波技術は、この間 大きく進化しており、ロボットシリンダーなどの登場により、より精密な動きを低コストで 出来るようになった。以前は 請負洗浄も行ってきた。課題をお持ちのお客様は、ぜひ、当社技術と他社との洗浄結果を比較検討していただきたい。
ラップ工程後の超音波洗浄について
最近、都内で 超音波洗浄技術のセミナーを行う機会がありました。多少気が付いてはいたつもりですが、日本の製造業とともに発展し、精密加工を裏で支えてきた超音波洗浄技術は、バブル期に頂点を向かえ、その崩壊とともに 情報が滞り始め、その後の急速な海外への製造業の移転で 情報は拡散、霧散し、リーマンショックで日本に残っていた超音波洗浄技術の経験豊富な担い手たちが 情報を抱えたまま消えて行ったのではないかと 思わざるをえませんでした。
かろうじて 残された私たち団塊世代の超音波洗浄技術者は、日本で培われ育った洗浄技術と その歴史を 若手に伝え引き継いでいただく努力をすべきではないかと思うしだいです。
たとえば、ラップ工程後の洗浄技術は、バフ研磨後の洗浄技術と同じように 日本の洗浄技術の古典です。それを常識だと言わずに わかりやすい形で 残す努力は 必要に思います。
ラップ工程後の洗浄の視点は、油の徐去と 多少食い込んだ砥粒の徐去の二つに分けて考えます。脱脂技術は、比較的容易なので、勘違いしやすいのは、今も昔も同じ。洗浄後に テーピング試験をすると 良くわかります。洗浄後乾燥させたラップ表面に セロテープを貼り付け、指で押してこすり付けます。その後 そのセロテープをはがして、白い紙の上に貼り付けて、その時、浮き出る色合いを見る簡便な広く使われている洗浄結果判定方法です。除去されていれば 透明。除去されていなければ、黒くなります。汎用のラップ洗浄検査方法でした。
ラップ粉を除去するには 超音波のキャビティーの適正な正と負、特に負の衝撃波、つまり食い込んでいる砥粒を引き剥がす力が必要です。きれいに安定した洗浄には、溶剤でも 水系でも 球状星雲型のキャビティ(微小真空核群)を発生させる必要があります。そのキャビティーの正と負の衝撃波の大きさは 対象物によって変わります。 もし、ラップ工程後の洗浄で、いまいちご不満をお持ちのお客様は、このサイトに詳細は書くにくいので、別途ご連絡下さい。メールで結構です。お答えいたします。
by shinano
超音波徐錆処理について (1)
錆の徐去は、浮き出て、超音波の衝撃波で 剥ぎ取られる対象以外 当社は 今まで お断りしてきました。当社は 今日まで、可能な限り、洗浄剤、溶剤の力に頼らず、水の超音波で発生するキャビティーの衝撃波で、洗浄力不足、溶解力不足を補うという方針を取って来たからです。従って、洗浄剤のこの10年の進化と あまり 関わってこなかったといってよいと思います。この間、お客様から紹介もあり、洗浄剤の様々な種類と触れ合うことが増えてきました。そして、大変新鮮な視点で、洗浄剤を見れるようになっていることに気がつきました。
今まで、あまり関心が無く、20年間 同じような汎用洗浄剤で良しとしてきた当社の経営方針を (超音波キャビティーの応用を前提とする方針は 変わりませんが、) 見直していこうと考えています。
その 第1弾です。
超音波徐錆洗浄実験を開始いたします。
超音波洗浄工程で 錆を除去します。
比較的 付加価値が高く 錆の除去が 必要となる部品を お抱えのお客様へ。超音波徐錆技術を お試し下さい。
酸による溶解ではなく、もちろん 超音波エッチングでなく、それに頼る必要のない超音波徐錆が 出来るようになりました。まだ始めたばかりですが、結果に驚いています。本稿は 順次 発表していきます。
by shibano
泡の噴流のキャビティーションと超音波 その大いなる誤解について
高圧水といっても 8MPa程度ですが,
その高圧水にエアーも混ぜて 噴射し、その時発生するキャビティーション効果でよごれを除去すると言う記事を見て、誤解を解く必要を痛感。ここに投稿します。
要約すると、比較的圧力の高い水にエアーを混ぜて噴射、その時キャビティーションが発生して、超音波も発生し、洗浄効果を上げると言う様な事が書いてあります。微細な急速移動するバブルについて 洗浄効果が どの程度あるかを 問題にしているのでは、ありません。キャビティーションと言う言葉についてです。キャビティーは、一般に空洞を意味し、鋳造品の中の空洞もキャビティーと言うので、水の中の空気の泡もキャビティーと 称しても 良いのかもしれません。しかし、キャビティーションは 空洞崩壊現象と訳されます。大気圧下の水流で 噴射された空気の泡、気泡は、その時点で、大気圧と 水圧による圧力とつりあっていて、その形を維持しています。泡が 崩壊、あるいは、消滅するためには、泡を変形、消滅させるための圧力波が、どこからか 供給されなくてはなりません。 超音波の場合は、超音波自身が その圧力エネルギーであり、大気圧、水圧も加算され、さらに、キャビティーの多くが 内部が、真空、または、減圧下にあるため、速やかに 消滅します。いわゆるキャビティーションです。超音波以外のいわゆるキャビティーションは 周囲の水圧が 大変な高圧化になる場合の現象です。
高圧水に混ぜた空気の微泡は、高圧に対応して泡の形状を維持しているので、且つ水中ですから、その気泡の内部圧力は 水面上の空気の密度より大きくなります。この空気の泡をつぶしたり、縮小させたり、分割させるのは、容易では ありません。注射器に空気を入れて、出口をふさいで、体積を小さくしてみてください。工業用のエアーシリンダーの工場のエアー圧は、平均0.4MPaです。8MPaが、事実であれば、その20倍の圧力の高圧水に吹き込むための空気の泡の内部圧力は、泡の形状を維持するために いくらでなければならないでしょうか。噴流として放出された場合には、泡にかかる圧力は、大部分、噴出し位置の水深に対応する水圧と大気圧です。水流の推進圧力もありますが。ここで 起きるのは 崩壊でなく 合泡です。つまりキャビティーション(空洞崩壊)現象は ありえないのです。合泡は、泡の崩壊ではなく、拡大ですから。
この時、つまり噴流時に 超音波が出ると、かいてありました。私は昔から その時は 聞くことにしています。どのくらいの周波数で、どのようにして確認測定されましたか?超音波洗顔器が バカ売れした時代にも、超音波洗濯機と称したバブル洗濯機が登場した時もメーカーに聞きました。全て、測定データは無く、単なる消費者向けのキャッチコピーでした。同じレベルなら 金魚鉢の中の金魚は、いつも超音波洗浄されていることになりますね、と言ったものです。超音波は 耳に聞こえない20KHz以上の音波です。超高性能の計測器があれば、きっと発生いることは、証明できるでしょう。しかし、何の役割もしていません。そして、超音波自身は、空気の泡が大敵で、空気の泡に消滅します。
超音波によって発生するキャビティーションの応用技術の開発を 天職とする一人として あえて この小文を記載させていただきました。多少とも 誤解の払拭に役立てば 幸いです。by shibano
ガソリン噴射ノズルのバリ取りについて
超音波バリ取り技術の特徴は、ガソリンの噴射ノズルのような繊細な加工の研削バリに 特に大きな効果を上げることです。超音波のキャビティーは、面で発生するため1個の除去に 5分かかっても 比較的小型の標準機でも 1度に1000~2000個のバリ取りが可能です。つまり5分で 1000個以上のバリ取り洗浄が可能です。ジグは、レール上の溝に 流し込むように並べるだけですから、問題ありません。
超音波で発生するキョビティーは、寝ているバリを引き剥がすようにして 除去します。高圧スプレーのように 押すわけでは、ありません。従って 高圧スプレーのように、バリが折れて寝てしまい 除去したように見えて そっくり残っていて、後で そのバリが脱落し、不良の原因になることはないのです。一見バリが取れたと思っていても、超音波で起き上がってきて、特のこの噴射ノズルの加工後のバリは、リング状に起き上がってきて 初めて その存在が、わかる場合が、あります。私たちは それを 隠れバリと呼んでいます。この隠れバリまで、除去できる品質を維持できるのは、超音波バリ取り技術しかありません。
また、超音波バリ取り技術は、メカニカルなバリ取り方法と異なり、精密なジグの管理も 表面に傷をつける可能性も 寸法に影響を与えることも ありません。そして 同時に 強力超音波仕上げ洗浄をしていることになります。メンテナンス時間の削減と洗浄工程の削減が可能です。従来の方法に比べて 設備コストも低い。
ただ、お間違い頂きたくないのは、超音波バリ取り洗浄技術は、当社独自の技術で、強力な超音波槽に 対象物をいれれば、バリが取れるわけでは、ありません。単に、超音波洗浄槽に入れれば徐去出来るわけでは、ないのです。球状星雲型のキャビティーを安定的に作る技術が前提で、専用のバリ取り超音波素子と 長年のノウハウの積み重ねによる当社唯一といって良い技術です。