液漏れ検知器付き 超音波振動子
強力な超音波を放射する心臓部である超音波振動板は、常に強力なキャビティーションの衝撃にさらされている。
そのため、キャビティー(微小真空核群)の正と負の衝撃力により、振動板の表面にエロージョンが発生しやすく、それが、振動板の寿命を左右する一つの要因になる。この厳しい衝撃力に耐えるように 当社では、振動板には、50μのハードクロームメッキをし、それでも危険な条件下では、さらに窒化チタンコートをする。当社が 開発を続けている、さらに強力な超音波バリ取り用振動子では、振動板の硬度をさらにあげる必要があり、現在、開発中である。
それでも エロージョンの他に、予期しない原因(溶接不良、パッキン不良、フレキシブルホースの取り付け不良、等)で、投げ込み用振動板などの内部に 液体が、侵入する事がある。これらは、超音波振動中しか、(微霧状の噴霧状になる事が多い)液漏れとして 発生しない。そのため 事前検査をすり抜ける。
当社では、最重要なコア機器である振動板、振動子(フランジ型、 投げ込み型)の品質の向上と製品検査を強化するほかに 特に過酷な使用条件下で使われる振動子向けに 内部に半導体液漏れセンサーを組み込むことにした。万一、液漏れが 発生して、振動子BOX中に 液体が 入り込んだら 警報信号を 出す事が出来る超音波振動子である。これによって、振動素子の破壊を未然に食い止めて、振動素子、発振器の深刻なトラブルを防止しし、対策を打つ事が 出来る。
ワンサイクル自動・グラビアシリンダー超音波洗浄装置
従来のグラビアシリンダー洗浄装置は、シリンダー長さを人間があわせて、超音波洗浄槽の中の回転ローラーの上に降ろし、超音波を照射しつつ回転洗浄するものだった。取りだす時も、人間が シリンダーをフックにかけて 引き上げなければならず、シリンダー表面に傷を付けないように 大変気を使って 取り扱って来た。揮発性の溶剤を使う事が多く、その強い異臭の中での健康を 損なう恐れの中での作業である。
当社は、シリンダーのセッティングから 取り出しまでを 全て自動化した。さらに 原則 水系の弱アルカリ・界面活性剤で 超音波洗浄するので 臭いもなければ 健康問題もない。
工程は、次のとおりである。グラビアシリンダーを 台に乗せて 運んで来て
①洗浄機のセッティング位置に ドッキングさせる。
② 自動洗浄のPBSWを 押す。
③円錐形の自動チャック装置が グラビアシリンダーを左右から自動的にチャックして 穴をふさぐ。
④チャッキング後 自動で超音波洗浄槽の中に シリンダーを運び、穴ギリギリまで 浸漬する。
⑤回転しながら 超音波洗浄をかける。回転速度は任意設定。超音波は強力無比なキャビティーション強化システム付きの25KHz~275KHZの同時多重波。溶剤は原則使わない。
⑥両端面は 超音波洗浄と同時に 金ブラシ回転洗浄を行い、超音波も併用して 端面のこびりついた塗膜を除去する。
⑦超音波洗浄後 シリンダーは、自動上昇し 液面上で 一旦停止する。
⑧この位置で ゆっくり回転しつつ、スクレパーで シリンダーに着いていた洗浄剤を 落とす。布などで 拭いても良い。
⑨PBSWを 押すと シリンダーは 手前に戻ってきて セッティング位置の上で 止まり、ゆっくり回転する。
⑩ここで、シリンダー保護カバーの巻き付けが 出来る。
⑪PBSWを 押すと 最初の原点に戻り キャスター付きの台座に シリンダーを載せて、チャック装置は 元位置に戻る。
*他の動きを お客様の希望により選択できる。
このワンサイクル自動グラビアシリンダー超音波洗浄機は、洗浄槽の中に回転ローラーなどの駆動部が無いので、メンテナンスが容易である。シリンダー径、長さなど ほとんどの国内仕様に合わせてあるので 心配はない。その他 たくさんの特徴、オプションが可能であり、安心して ご使用いただける自動洗浄機である。詳細は メールで 問い合わせしていただければ 図面等を送らせていただく。
紡糸用ノズルの超音波洗浄・超音波バリ取り・再生洗浄
当社は、乾・湿式紡糸用ノズル、溶融紡糸用ノズル、複合紡糸用ノズルの超音波洗浄装置、および超音波バリ取り洗浄装置、さらに 再生洗浄装置の 製造販売を行って来た。当社の商品の型式では、PERION-EHシリーズと PERION-DBシリーズが 相当する機種である。全自動で 洗浄、乾燥する場合は、VEGA-EHシリーズで ある。紡糸用ノズル洗浄の基本は、強力な超音波のキャビティーションの発生位置を正確に 設計 コントロールして、ノズルの孔に キャビティーを集中させる事である。日本だけでなく 紡糸用ノズルのバリ取り装置は、海外からの引き合いが 増えつつある。紡糸用ノズルの孔の形や構造は、ますます 精密、複雑になってきているので、超音波の出力も 4W/cm2クラスまで必要になってきつつある。
マット 絨毯の超音波洗浄
1990年代に 京都福知山に 私(筆者)は、D社と共同で、D社のマットを超音波洗浄する技術を開発するための 研究所を作った。前工程の 砂落とし工程は T社府中が 請け負っていた。前工程の洗浄不良、超音波洗浄技術の未熟で なかなか 安定した結果が出ず、D社のこの開発の責任者のS専務には、だいぶ迷惑かけたと 思う。並行して アメリカ ワシントンで、アルカリイオン水を使ったクリーニング装置の発表を行い、超音波クリーニング装置のD社とアメリカ販売の計画を立てていた。
突然のS専務派(と 言っていいのか分からないのだけれど)の失脚と左遷により、関係した開発計画は、消滅。その後 全て 独自に マット洗浄技術、イランの商社経由の絨毯の超音波洗浄技術の開発を継続させた。2000年に入り、技術の完成を確信して D社に呼びかけ 技術開発本部長他 責任者 数名立ち会いで マットを3枚折りたたんで 針金で縛り、当社のノウハウにもとずく、マット超音波洗浄を 行った。
基本技術は、当社のMARS-EH シリーズである。 結果は、大成功。超音波マット洗浄は、良好であることを 確認していただいた。しかし、はD社、設備投資をしたばかりと言う事で、超音波マット洗浄技術は、結局 導入には、至らなかった。マット超音波技術は、マットだけでなく、絨毯や、タクシー、病院、ホテルのシーツ、工場や、事務所の空調用のフィルター、繊維状物質の超音波洗浄技術の完成を示している。それは、また、S専務が夢見た、超音波クリーニング基本技術の完成でもあった。
現在 中国、ブラジルからの ライセンス供与の呼びかけがあり、検討している。文責:柴野
ワイシャツの超音波洗浄 2分で200枚!
家庭用衣料品の洗浄を請け負う・クリーニング業界で、最も利益を出しにくいのが、ワイシャツである。安売り、値引きに対象になっている事もあり、手間の割に 費用が取れない。従って、超音波が クリーニング業界で使用していただける技術に昇華するためには、ワイシャツのクリ―ニング技術で、利益を生み出す洗浄技術でなくては ならない。当社の技術は、ワイシャツを ハンガーにかけたまま、あるいは 任意に畳んだままでも、丸めたままでも 200枚程度を 超音波照射 2分で きれいに洗う事が出来る。私(筆者 柴野)、以前 P&Gさん立ち会いで、標準汚染布を使って 確認した技術である。もちろん 今、超音波技術は 当時より遥かに進んでいるが、基本は 変わらない。超音波クリーニング技術の普及は、どの分野から 始まるか 今 秒読みだと考えている。お待ちいただきたい。
火力発電所のタービン用HEPAフィルター・真空前処理・精密超音波洗浄技術
火力発電所のタービンの空気取り入れ口用のHEPAフィルターのい再生のための超音波洗浄技術である。約700mm角の枠が、SUS製の非常にしっかりした構造のHEPAフィルターの再生洗浄技術は、当社のMARSシリーズの専用機の一つである。HEPAの構造がしっかりしているとはいえ、超音波周波数は、50KHz~275KHzの広域同時多重波を使用、出力密度の2W/cm2の超音波振動子を 使う。真空前処理で フィルター内部の空気を完全に除去した後 溶解気体を十分に除去した水を導入して、超音波正洗、超音波逆洗を繰り返す。この技術により、火力発電所のタービン用のHEPAフィルターを 再生する。この技術は、日本から 中国等 アジア各地に 普及を図っている。