微小真空核群(キャビティ)直径10mmの衝撃 公開
超音波洗浄は、超音波で発生するキャビティ~微小真空核群の発生と消滅時の衝撃力を利用する洗浄方法である。発生時に周辺の液体は、押しのけられ、キャビティの中心から 離れる方向へ衝撃波が発生する。これを 私は 正の衝撃波と呼んできた。次にキャビティは 消滅する。その時、周辺液体は、キャビティの発生中心方向へ向かって、高速で移動する。この時発生する衝撃波を 私は、負の衝撃波と呼ぶことにした。(1993年)すなわち 超音波洗浄は、このキャビティーの発生と消滅、正と負の衝撃波を利用する洗浄方式である。汚れを取るという事は、固体表面から 異物を引きはがす事であるから、正と負の衝撃波のどちらが 大きな働きをするかと言えば、当然、負の衝撃波であり、負の衝撃波は、発生時の正の衝撃波よりも わずかに強力である。
そして、超音波洗浄における洗浄力は、キャビティの衝撃力に依拠する。すなわち 超音波洗浄力は、キャビティの発生、消滅時の液体の移動エネルギーに依拠する。私は、かって、超音波洗浄設計の基本は、キャビティーションコントロールであるとした。キャビティーの発生位置のコントロール、発生密度のコントロール、衝撃力のコントロール、そしてキャビティーの発生効率のコントロールである。
その中の衝撃力は、キャビティー発生液管理条件が同じであれば 当然、キャビティーの径に依拠する。キャビティーの1秒間に2万回以上繰り返す正と負の衝撃エネルギーは、キャビティーの発生消滅時のその液体の移動運動量であるから、その運動量は、質量x速度の2乗倍で、キャビティーの直径で考えると、直径が2倍になれば、その運動エネルギーは、2の3乗倍x2の2乗倍~36倍になる。対象汚れの除去に そのエネルギーの一部しか使われないとしても、キャビティーの径は、超音波洗浄の洗浄力に 極めて大きな影響力を持つ。
それ故、ブルー・スター R&Dにおける重要開発テーマの一つは、キャビティーの径をどこまで大きくできるかという事になる。
一般の超音波洗浄のキャビティは、ガス星雲型と1993年に私がなずけた形をして、0.1mm以下の微細な霧状の(空洞)と径0.5~1mmのわずかな真空核が、層雲状にばらついて存在して、同期して 生成消滅を繰り返す。従って、洗浄力の基をなすエネルギーは、その中の最大径の真空核0.5~1mmの液体の移動量である。
ブルー・スター R&Dのキャビティー~微小真空核群は 球状星雲型をなし、洗浄用の場合は、その集団の直径は、最小で 3~4mmになる。一般のキャビティと比較すると、移動体積量だけで、移動速度を入れずに考えても、25~50倍になる。バリ取り用のキャビティーの径は、6~7mmである。はるかに大きい。
そして、今年、超音波によって発生するキャビティーの径を 10mmまで 安定して発生し続けることを確認した。この実験は、3年前から 行われており、3年間の実績をもって 2017年4月、発表・実用化することになっものである。超強力な超音波キャビティーは、強力なバリ取り、バリ取り研磨装置として 実用化されている。
ブルー・スター R&Dと他社の超音波洗浄が何が違うのかと、多くの人に聞かれる。たくさんの違いがある。そのわかりやすい答えの一つが、直径10mmのキャビティーの公開である。
この直径10mmのキャビティ(球状微小真空核群)を 2017年11月29日~12月1日まで 東京ビックサイト洗浄総合展で 透明PV槽で 発現させ、皆様に公開する。その衝撃力を 多くのお客様に 味わっていただきたい。
by y.shibano