超音波バレル・バリ取りと研磨の 新たな可能性について
超音波洗浄槽中で、六角回転カゴを使って洗浄する方法がある事は、超音波洗浄に関わる者は、誰もが知っている。私も知っていると考えていた。従って、洗浄液を脱気しても 特段の効果の変化はないと考えてきた。
しかし、それが、過ちであったことを日々、私は、知らされている。
一般の超音波洗浄において、回転かごは、回転かごの表面における乱流で、その位置に超音波によるキャビティーションが発生し、そこで無駄エネルギーを消費して、回転かごの中には、超音波は、きわめてわずかしか、入り込めない。その常識の壁が、新しい可能性を摘んできたのかと思う。
液体中の気体の含有量を一定以下に下げると、超音波洗浄槽中における乱流の影響をある程度避けることが出来る。つまり、回転かご中に、比較的効率よく、超音波を照射できる。当たりまえな事ではあるが、その回転かごの中に入り込む超音波エネルギーが一定以上を超すと、対象の洗浄物は、キャビティによる正負の繰り返し応力(正負の衝撃力)の他に、当然超音波による微振動を受ける。その微振動が、一定レベル以上になり、ワーク同士が、多数、超音波振動、キャビティーの衝撃、を受けつつ回転する状況になると 予想以上の効果~取れにくいバリの除去、材質によっては、通常のバレル研磨を超す研磨状態を 達成することが出来る事が、明らかになってきた。
超音波バレルは、回転かご中における効率よいキャビティーの衝撃波と、1秒間に2万5000回以上の振動によるワーク同士の~研磨材は使用せず~こすれあいによって、効率的なバリ取り、研磨を達成する技術である。
一般のバレル研磨と異なるのは、水以外(もちろん防錆剤入りでも良いのだが)、何も使っていないので、後洗浄も不要で、強力な精密洗浄と、バリ取り、時には研磨を 自動で、容易に達成できることにある。特徴の一つに、共ズレを期待するため、量が多い方が良い事が条件に一つになる。100~数万個と言うべきだろうか。
これからの新しい超音波の応用技術として 育てていきたい。
by shibano