ラップ工程後の超音波洗浄について
最近、都内で 超音波洗浄技術のセミナーを行う機会がありました。多少気が付いてはいたつもりですが、日本の製造業とともに発展し、精密加工を裏で支えてきた超音波洗浄技術は、バブル期に頂点を向かえ、その崩壊とともに 情報が滞り始め、その後の急速な海外への製造業の移転で 情報は拡散、霧散し、リーマンショックで日本に残っていた超音波洗浄技術の経験豊富な担い手たちが 情報を抱えたまま消えて行ったのではないかと 思わざるをえませんでした。
かろうじて 残された私たち団塊世代の超音波洗浄技術者は、日本で培われ育った洗浄技術と その歴史を 若手に伝え引き継いでいただく努力をすべきではないかと思うしだいです。
たとえば、ラップ工程後の洗浄技術は、バフ研磨後の洗浄技術と同じように 日本の洗浄技術の古典です。それを常識だと言わずに わかりやすい形で 残す努力は 必要に思います。
ラップ工程後の洗浄の視点は、油の徐去と 多少食い込んだ砥粒の徐去の二つに分けて考えます。脱脂技術は、比較的容易なので、勘違いしやすいのは、今も昔も同じ。洗浄後に テーピング試験をすると 良くわかります。洗浄後乾燥させたラップ表面に セロテープを貼り付け、指で押してこすり付けます。その後 そのセロテープをはがして、白い紙の上に貼り付けて、その時、浮き出る色合いを見る簡便な広く使われている洗浄結果判定方法です。除去されていれば 透明。除去されていなければ、黒くなります。汎用のラップ洗浄検査方法でした。
ラップ粉を除去するには 超音波のキャビティーの適正な正と負、特に負の衝撃波、つまり食い込んでいる砥粒を引き剥がす力が必要です。きれいに安定した洗浄には、溶剤でも 水系でも 球状星雲型のキャビティ(微小真空核群)を発生させる必要があります。そのキャビティーの正と負の衝撃波の大きさは 対象物によって変わります。 もし、ラップ工程後の洗浄で、いまいちご不満をお持ちのお客様は、このサイトに詳細は書くにくいので、別途ご連絡下さい。メールで結構です。お答えいたします。
by shinano