プラスチック・トレイの超音波洗浄
[金属・加工品 洗浄用 トレイ洗浄機]
多くの機械加工部品が、プラスチック・トレイで、大切に運ばれている。しかし、トレイは、長く使われ、金属加工品の搬送用トレイ等・・は、トレイ内部も外部も傷だらけになり、その傷の内部に 油や切り粉が 浸み込み、金属粉が 深く食い込んでいる事も 珍しくない。しかし、大切な製品を 入れて運ぶのであるから、トレイの中は、可能な限りきれいにしておきたい。
この目的で使用するのが、トレイ超音波洗浄装置である。トレイは、プラスチック製であるから、超音波を吸収しやすい。当社のキャビティ―ション強化システム付きのトレイ専用超音波洗浄装置の場合は、強力な超音波が、容易に プラスチックの容器を通過して 表裏とも 傷の中はもちろん、食い込んだ切り粉も除去する。当社のVEGAシリーズの中の トレイ専用機であるが、トレイ用のため 価格を低く抑えている。
[食品工業向け トレイ洗浄機~弁当箱洗浄装置まで]
食品用は、トレイ材質は、プラスチックよりも金属が 多く、また、鉱物油が 付く事は、考えない。逆に 細菌類も除去出来る水洗浄になる。これも 基本ベースは、当社のVEGAシリーズの中で 専用機として 対応するかコンベア方式になる。ここでも 強力無比な超音波キャビティーション強化システムの技術が 活躍する。
フォトマスク・光学レンズ、プリズム等の基本・超音波洗浄工程
日本が、超音波洗浄業界が 最も活気のあった時代は、9~16槽式のフォトマスクの洗浄機、レンズの多槽式等の洗浄機が 多数製造販売されていた時代では ないだろうか。フロンー113(CFC-113)が、使用禁止になってから、技術開発も 促進され、当社のキャビティーション強化システムの登場などにより、変化した部分もあるが 基本的な洗浄の考え方は 変化していない。
フォトマスク、各種光学レンズ、プリズム、ガラス基板を中心に 基本的な洗浄工程の考え方を 図にしてみた。図の見方ですが、たとえば 光学レンズのピッチ除去洗浄から、工程を組む場合の最も普通の洗浄工程は、ピッチ除去溶剤洗浄⇒溶剤・リンス超音波洗浄⇒蒸気洗浄⇒弱アルカリ系洗浄剤超音波洗浄⇒同・超音波洗浄⇒市水・リンス・シャワー洗浄⇒市水・超音波洗浄⇒純水・超音波洗浄⇒同・リンス⇒同・リンス⇒同・リンス⇒IPA・水置換・超音波洗浄⇒同・リンス⇒同・リンス⇒IPA・蒸気洗浄(他の溶剤・蒸気洗浄)である。 途中を短縮したり。さらに追加して、槽を増やしたり。9~16槽式の 超音波洗浄装置が 編成される。参考にして頂きたい。ガラス洗浄は、金属洗浄と異なる。潜傷対策など、金属にない課題もある。また、反射波が生じないので、キャビティ―ションの定在波のコントロールが、最重要になる。(詳細は、後日)
亜鉛ダイキャストのバリ除去 最適な超音波バリ取り技術
様々な金属のダイキャストのバリの内、超音波バリ取り技術で もっともよく取れると言う印象の 有るのが、亜鉛ダイキャストである。完全にふさがっている穴や、比較的大きな湯バリも 超音波でよく取れる。亜鉛ダイキャストのバリ取りは、超音波バリ取りが最も適していると 考えている。
ただ、あまりに 良く除去出来て 中国で失敗した例がある。
日系の大手企業の福建省の工場の日本人技術者が、突然、実験室に 亜鉛ダイキャスト製品をたくさん持ちこんできて 超音波バリ取り実験をやってほしいと言う。見るとバリが大きく、10mm程度の穴も 完全にふさがっている所も多い。これは、超音波バリ取りでは もちろん、ショットブラストでも除去出来まい、成型不良の典型だなと 下がって実験を見ていたら、ランダムに重ねていた亜鉛ダイキャスト製品のバリが、超音波で ぼろぼろと 落ちて行くのが見える!え~と思って、結果に お客さまと立ち会うと ふさがっていた穴もきれいに、開いて、バリは、何処も 全てきれいに取れている。
お客様は、大変喜んで、この実験機でいいから すぐ売れと言う。実験機納入後 追加で 4台 発注したいとも言うので、複数あった実験機のうちの一台を 緊急整備して納入し、次の注文書を待った!
1ヶ月後苦情が 来る。ストレーナー、フィルターが すぐ詰まって困ると言う。すぐ 技術を派遣したが、すでに遅し!お客様は何と 濾過圧力警報器の警報がうるさいので、設定を 0.4MPaを 0.7Mpaの変更。そのため フィルターが 潰れ、除去されたバリは、コア機器の真空脱気装置にまで 侵入、溶存酸素濃度が上昇、結果として 超音波バリ取り能力が 低下。真空脱気装置を交換補修しなくてはならなかった。お客様は、実験室でバリが きれいに取れた時に バリの量に気がつかなかったメーカー責任と主張され、妥協点を見つけるのに 大変時間がかかった。もちろん、日系企業の日本人技術者たちである。
その時以来、亜鉛ダイキャストのバリは、根元の強度が 弱いのか、繰り返し応力に弱いのか 実によく取れるが、あわてず、除去されるバリの量に 十分注意して 最終仕様を決めるようにしている。私の苦い失敗例である:文責 柴野
APR版超音波洗浄装置の革新
APR版 液晶用のポリブタジエンの版の存在を知ったのは、当時の版製造メーカーで、世界のシェア80%を誇っていたコムラテックのK専務からである。K専務は、大変熱心にAPR版の洗浄機の必要性を説いて下さった。当時、何処も不織布で 人間が アセトンを付けて拭いて洗浄していた時代。その不織布の使用量は膨大で、その無駄を省こうと言う事もあった。いずれにしても K専務の指導が無ければ、APR版の洗浄システムの完成は、なかった。
最適な洗浄剤を捜し、洗浄実験を続けた。必要性を説かれてから4年。NMPとの出会い、APR版洗浄技術の基礎が 出来た。世界初の1号機は、日立茂原さん。お世辞にも 良い洗浄機とは、言えなかった。申し訳ない。しかしここで、APR版と言うものに 深くかかわる事が出来て、次からの成功につながった。
2号機は、シャープ多気工場。それから、AU(1号機から4号機)、エプソン、ソニー、カシオ、STLCD,日本電気・・・・。と APR版洗浄機を納入し続けた。1槽式~4槽式と発展していく。版も どんどん大型化。8世代は、当たり前になった。NMP~純水へ 至る洗浄技術は 基本特許で 抑えたあったが、仔細あり 特許を手放す事態があり、日本の後発メーカーが、販売出来るようになった。いずれにしても 世界初めてから10号機前後まで 全てAPR版洗浄機は、K専務とタッグを組んで その指導のもとで 製造販売したものである。
APR版の大型化に伴い超音波技術も 大きく進化した。4800W~9600W そして 現在の14400Wに至る技術も この版の大型化に追いつくための技術開発の結果である。超音波の周波数も 50KHzを基本周波とする275KHzまでの 広域同時多重波を開発、版の大型化(初期継ぎ目対応)に 対応した。槽の幅も NMPの量を減らす目的もあり、75mmから105mmと言う薄さで、APR版は、キャビティーの定在波に合わせて、下降浸漬して、超音波洗浄する。もちろん NMPは、溶剤であるから真空脱気(超音波キャビティーション強化システム]システムは 必須である。これが無ければ 超音波は 意味が無い。
2年前、インドのムンバイ近郊に 次世代液晶工場を作ると言う事で、中国製造、インド納入を計画したが、大雨で工場用地が、流され 工事が遅れ、現地に視察に行こうと計画していた矢先、テロ事件が起きた。時期がずれるとテロに巻き込まれたかもしれない。APR版洗浄機には、開発当初のような 熱い思いは 無くなったが、超音波発振器、振動子製造技術の革新を促した。中国にあふれる液晶工場、そして そこで働く多くの日本人。APR版洗浄機は、今、どんな技術の革新を 要求しているのだろうか。 楽しみである。文責:柴野
超硬チップの精密超音波エッチング技術
以前、少し古い話ですが、超硬チップの超音波エッチングをMマテリアルさんから依頼され 開発に成功、全自動機を数台入れたのですが、その後 その超音波エッチングの技術をいかす機会になかなか恵まれず、ようやく海外から注目を集めるようになってきたので、それを機会に 超音波エッチング技術の素晴らしさを知って頂こうと思います。もちろん 技術の進歩は、早く、現在の技術レベルは、お客さまも当社も 以前より、遥かに 向上しているのは、当然です。以下は、旧実績レベルの公開可能範囲です。
超硬チップの表面に TiCN等の各種複合コートを確実にするために タングステン粒子Wとコバルト粒子Coで、出来ている表層から、硝酸を使った超音波エッチングで、Coのみを選択的に除去、選択的超音波エッチングを行います。もちろん、単純に 硝酸液に超音波を照射して、Coが 短時間に 均一に ムラなく除去出来るわけでは、有りません。それでは、逆効果です。当社の超音波キャビティーションコントロール技術と 広域同時多重波発振技術が 必須です。
当時、その硝酸のキャビティーション強化技術の開発と実用化により 硝酸濃度100分の一(従来比)、エッチング速度10倍、品質良好の評価を頂き、自動PH調整器、リンス槽、中和槽、乾燥槽を 備えた、全自動装置を 数台納入して喜ばれました。実際の使用濃度は 10分の一に しました。硝酸の消費に対しての補給が 実用的でなかったからです。
化学反応の世界で、超音波の果たす役割は、反応の促進と均一化です。しかし、それを 満足させるためには 超音波洗浄技術に対しての 誤った考えを棄て、真・超音波洗浄技術(言い方を変えるなら、球状の星雲型微小真空核群の正しい応用技術)を理解しなくては、なりません。これが出来なければ 超音波は 化学反応の局部促進と妨害だけです。一部の それゆえ、超音波は 役に立たないと言う強い考えが 有りますが、それは、間違った超音波技術の結果です。
正しい超音波技術が 理解され 化学反応の世界で 素晴らしい活躍が 出来る事を期待しています。 文責:柴野 佳英
F1エンジン・エンジンブロック・マニホールド等の完全鋳砂除去技術の進化
トヨタF1エンジンの エンジンブロック、マニホールド、オイルポッド等の 鋳物砂を一粒も残さず除去うするために 超音波鋳砂除去業務を請け負いして その期間1年半。その後 その鋳物砂完全除去用に 真空前処理型超音波鋳砂除去装置を F1用として納入。その実績をもとに商用車のエンジンブロックなどの鋳物砂除去う装置として、真空前処理型MARS-DB-25-14400を 各自動車メーカーへ納入して来ました。中国への実績も少しずつ増えています。残念な事に日本のトヨタ、ホンダさんとも F1を撤退。この技術の真髄を披露する場所を捜しています。商用車の他、FC関係他 ターボファンの鋳物除去超音波技術の確立に より強力な超音波の開発を進めています。