黒皮の除去と超音波バリ取り技術
鉄の酸化被膜 黒皮の除去は、サンドブラストで除去するか、グラインダーなどで削るか、酸化剤を使うか、限られた方法しか存在しない。非常に硬いため 刃物で削るには、刃が傷みやすいからである。サンドブラストは、一皮むく厚さもコントロールできるので、多く使用されているが、不必要な表面にも ダメージを与えやすく、繊細な金属表面には、利用が困難である。
一般の酸化剤は、時間がかかる事、ムラがある事、濃度の適正幅が狭いことなどで、安定した皮膜除去を維持しにくい。水の超音波バリ取り用の強力な超音波を照射しても、黒皮は 硬くビクともしない。
しかし、水の超音波バリ取り洗浄機に 安全な、酸化剤を混ぜて超音波を照射すると、状況は一変し、非常に短時間に黒皮を除去することが出来る。その除去厚は 濃度でコントロールできる。繊細な精密機器の黒皮除去については、超音波バリ取り技術を持つ当社に お問い合わせいただきたい。複雑な形状にも 十分対応できる。
プレス加工後のブラシ研磨バリ取り 重大な盲点
プレスで 様々な孔加工をした後 発生するバリを回転ブラシで バリ取り研磨する。ブラシには 微細な砥粒が含まれる。回転ブラシは、バリ除去の効果を上げるため 回転方向、速度などに 様々な工夫、タイプがある。もちろん、シャワー洗浄も同時に行う。
処理後の表面は、プレスによるバリは、除去されているが、無数の微細な傷が 交錯してついている。その交差面のくぼみには、より微細な砥粒が食い込み、発生したカーボンが へばりついている。傷は、無数の微細な2次バリも伴う。
これらの ブラシバリ取り研磨による 2次バリ、カーボン状物質、破砕された砥粒は、交錯する傷の奥に取り込まれており、シャワー洗浄では、除去できない。表面の付着物が流れるだけである。溶剤系の超音波洗浄では、傷に囲まれた奥の異物を 取り出すことは 不可能である。
除去されたかどうかの判断は、2000倍以上の3Dマイクロスコープでも確認できるが、簡単には、アルコールをつけた綿棒で 強くこすると、すぐにわかる。綿棒は、たちまち黒くなる。きらきら光る金属粉も確認できる。
この汚れた状態で、目視では 如何に鏡面で綺麗に見えても半導体、電子部品製造、医療用機器の板金部品としては不適格である。
これらの異物を除去するには 当社の実績では、キャビティー径 6mmΦ以上の超音波洗浄技術が必要である。
ここでは、広範囲に使用されているプレス部品のバリ取り研磨装置において、実は 2次バリや、砥粒残りやカーボン残留など、大きな課題も発生させているのだという事を 指摘しておく。
by shibano
シールリングのバリ取り洗浄
トランスミッションやターボチャージャに使われている樹脂製のシールリング部品で、気体や流体をシールする隠れた重要部品。PEEK材、PPS材をベースとし、高いシール性と耐摩耗性を両立している。そのため、シール性能を損なうバリは厳禁で、現在、超音波バリ取り洗浄装置が活躍している。
超音波バリ取り洗浄装置は、他のバリ取り手段と異なり、液体は、水で、誰もが安全に使用でき、同時に精密洗浄も可能であり、乾燥機と連結することができる。。
射出成型機 押し出し機スクリュウの超音波洗浄
射出成型機の押出機スクリューは、定期的に洗浄する必要がある。除去するには、溶剤を使ったり、ショットブラストを使ったり、残った樹脂をブラシ、刃物で削り取る。時間のかかる作業である。当社は、アルカリ系水溶性超音波を使い、強力な超音波で、洗浄することが出来る。グラビアシリンダーの超音波洗浄機と考えは同じである。
ただ、樹脂残りが 非常に厚く受信懲り量が多い場合は、超音波除去にも限界があるので、炭化炉で800℃加熱処理して炭化処理をしていただいてから、強力な超音波洗浄で 清浄化する。
樹脂の種類は、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン等。スクリューのサイズは、1500~2000mmである。
当社は、PPS精密成型品の超音波バリ取り機を日本以外に、中国、そして EU諸国に輸出しているが、スクリュウの超音波洗浄機も 受注活動をしていく。
超音波バリ取りに 使用可能な 液体の種類
超音波バリ取り洗浄は、水から始まりました。お客様の要望に応えるにつれ、超音波バリ取りに使用できる液体は、急速に広がっています。現在、使用できる液体は、以下の通りです。ただし、それぞれに特徴があり、超音波バリ取り性能は、個々に全て変わります。
1、水系 純水、水(市水、工業用水、地下水)、水溶性洗浄剤、水溶性界面活性剤入りの水。クーラント液。水溶性防錆剤。
2、有機溶剤類 トリクロールエチレン、塩化メチレン、パークロルエチレン
3、その他の溶剤類 臭素系溶剤(アブゾール等)、フッ素系溶剤類各種。
4、防錆油、加工油、水溶性切削剤。
5、炭化水素系溶剤 (例、日石;NSクリーン等)
6、その他、高級アルコール類各種。
7、酸、アルカリ水溶液 (超音波エッチング、超音波電界バリ取りエッチングに変化)
表面張力が小さく、粘度が小さく、比重が大きい液体が、使用に適します。ただ、当社としては 出来るだけ、管理しやすい水をお勧めしています。
バフ研磨後の洗浄
バフ研磨後の洗浄の相談が 最近目立っています。良くお聞きすると バフ研磨の意味が分からず、洗浄できるはずのない洗浄剤を使用していたり、ガス星雲型の油除去用の超音波キャビティーを使っていたりで、驚かされています。バフ研磨後の洗浄技術は、約30年前に確立され、解決されたはずの古典技術で、超音波洗浄技術で 悩む必要はありません。
もし、まだ、バフ研磨後の洗浄で 課題をお持ちのお客様がおられたら、ご連絡ください。洗浄実験をして 簡易的ですが、実験報告書をつけて 返送させていただきます。