ソノケミストリーの世界に 直径10mmのキャビティーを!
超音波を化学反応の世界に 様々な形で有効利用して行こうと誘われてから30年、ほとんど かかわりを作ることが出来ないで来た。ただ、超音波を正しく利用すれば、反応の促進には、素晴らしい効果を上げる事は 明らかであるし、超音波有機合成についても 十分安定利用が可能である。
超音波バリ取り洗浄技術の開発の過程で、球状キャビティーの形状が およそ径10mmにまで達し、チタンの加工物のバリ取りにも利用されるようになってきた。超音波で発生するキャビティーの正と負の衝撃力は、現在 30年前、全く予想もしなかった大きさにまで 進化している。
ここまで来れば、ソノケミストリーの世界に 超音波バリ取りで使用しているような、他で類を見ない衝撃波を 利用していただきたいと考えるのは、開発者として 当然の帰結だと考える。ソノケミストリーの世界は 広く、応用は無限である。一部の応用方法を独占しても意味はない。
ただ、その前に キャビティ(微小真空核群)の 生成と消滅の40000分の1秒の世界を最新の高速動画撮影で、再確認しようという事になった。40年ぶりの高速撮影である。あの時は、撮影時間は半年。今回は 3日。しかし、半年かかった撮影データは、今は、一瞬で手に出来る。2022年5月、満を持して、210万分の1秒の高速撮影機材を準備。ガラスの大型水槽も準備、様々な機器を接続、高速撮影に 挑戦した。
それらの結果は、海外のソノケミストリーの雑誌に多数の動画を含めて投稿した。意味することを理解していただければ 本望である。超音波の正しい理解無くして、ソノケミストリーの進化は、無いと言うのが 私の立場になる。
この撮影の結果、40年前の半年かけて撮影した わずかな一瞬のキャビティの映像から得たもの、そして、そこから 演繹し続けてきた考え方が、基本的に間違っていないことが、改めて確認できた。しかし、同時に 超音波のキャビティーの生成と消滅、その変化が、より、複雑で、我々が 本当に 一部しか、利用していないことも明らかになってきた。私の立場は 経営者の端くれで、会社に利益をもたらす方向をより掘り下げざるを得ず、情報公開も制限を受ける。それでも 超音波によるキャビティー応用の行きつくところまで、見てみたい。
気持ちを一に出来るお客様がおられたら、機会を選び 順次、この間の超音波に関する情報を公開していきたいと思う。
by Y.Shibano