ターボチャージャー用羽根車(ターボファン)の超音波鋳物砂除去技術
2011年ごろ、ガソリン自動車用のターボチャージャーの羽根車(ターボファン)の製造工場をお客様の依頼で 見学させていただいた。特に鋳砂除去工程で、強力な超音波で、鋳砂除去が可能かどうかという問いかけだった。当社は、エンジンブロックなどの超音波鋳砂除去装置は 多くの実績があるが、ターボファンの硬い鋳砂は、初めてである。鋳砂の中に埋もれて、ターボファンは見えず、その現場では、1昼夜、強アルカリ煮沸し、リンス後、ショットブラスト、高圧ジェットなどで、除去する。すさまじい騒音で、頭痛がするほどで、当社への期待が、よく理解できた。
ただ、その時は、当社のバリ取り用超音波では、ほとんど ターボファンの鋳砂は 除去できなかった。
それから、4年。さらに強力な超音波を完成し、改めて、ターボファンの鋳砂除去試験を行った。水の中に鋳砂で覆われて、見えなくなったサンプルを入れて、超音波を照射。4年前と異なり、鋳砂は、たちまち砕けて、超音波の大型キャビティ(球状真空核群)に、塊は、粉砕されていき、5~10分で ほとんど除去できた。同時に10個でも20個でも可能なので、処理量には 懸念は、無い。
お客様には、長い時間がかかったが、新しい比較的静かで安全なターボファン鋳砂除去技術ができたことを 報告した。
(2015.10.29)