精密・高性能・金型超音波洗浄のために 電界金型超音波洗浄の怪異
金型超音波洗浄の引き合いが増えている。PPSなどのプラスチック(樹脂)の精密成型品の超音波バリ取り洗浄機を納入している関係で 同じ超音波なので 当社の金型超音波洗浄機にも 注目してくださっているのかと思う。 ここで、金型超音波洗浄で 使われている電界超音波洗浄について 考えてみたい。超音波振動板と対象洗浄物との間に電界をかけると 非脱気の場合、ガス星雲型のキャビティは、定在波面からのわずかな上下分散をやめて 定在波面に集中する。また、対象物の電界集中ポイントである金型部品の角に集中する。汚れは、奥や、凹面にあることが多く、したがって、電界をかけることで、目的の位置で、超音波洗浄効果を上げることはできない。25年前、私が、電界超音波の特許申請をしていながら、審査請求にかけなかったのは、電界をかけることで、金型のような複雑形状の洗浄効果を上げることが 無理とわかったからである。
もうひとつ、金属の籠に ワークを載せて、振動板との間に電界をかけることは、当然できないので(籠だけの電界超音波洗浄になり、対象物は 洗浄できない)、金属の籠、または、治具を 振動板側に使えず、実用的でないと判断したからでもある。
洗浄液を強アルカリにして、電界をかけると 振動板、あるいは、その同電位電極から 水素などの気泡が発生する。目に見える泡が大量に出る。電界超音波洗浄のメーカーには この状態を営業上の特徴として 泡がたくさん出ている状態の動画を 電界超音波洗浄の効果、優位性の広報に使っているところもある。これは、おかしい。というより、怪異だ。超音波洗浄において、目に見える泡は、超音波を反射、吸収~消去する。
つまり電界超音波洗浄で 発生してしまう泡は、超音波を消去するもので、効果を宣伝する現象ではない。多少効果があるなら超音波の効果ではなく、温度の高い強アルカリによる浸漬、溶解の効果に過ぎない。
超音波洗浄は、超音波で発生するキャビティー(微小真空核群)の生成と消滅時の正と負の衝撃波を利用する洗浄方法である。精密金型洗浄の場合は、もちろん、水だけよりアルカリ(混液)を使った方が、焼き付きや樹脂のこびりつきを除去できる。そして この場合も 溶存酸素を 効果的に 減らす技術が必要である。ガス星雲型のキャビティではなく、教場星雲型のキャビティが、今の時代の精密な金型の洗浄には、必要になっているからだ。当社は この特許も申請。目に目得る泡ではなく、1秒間に 2万5千回生成と消滅を繰り返す球状星雲型のキャビティ(微小真空核群)で、強力、ち密な洗浄を行う。
by shibano